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2025年7月9日水曜日

韓国・スンチョン(順天)旅行

5月に韓国南部の都市・順天(スンチョン)を訪れました。この地域には順天湾と呼ばれる広大な湿地帯が広がっています。順天湾は韓国南西部、全羅南道に位置し、面積は約30平方キロメートル。塩性湿地、ヨシ原、干潟など多様な環境が広がり、鳥類、魚類、甲殻類など多数の生物の生息地として高く評価されています。その重要性から、2006年にはラムサール条約湿地として登録され、2021年にはユネスコ世界自然遺産にも認定されました。


20世紀後半、韓国を含む多くの国々では急速な工業化と都市開発が進み、経済成長が最優先課題とされる中で、多くの湿地や自然環境が開発によって姿を消していきました。仁川国際空港が建設された永宗島周辺や、2023年の世界スカウトジャンボリーの会場となったセマングムなども、かつては豊かな干潟でした。


日本も例外ではなく戦後の高度経済成長期以降、多くの沿岸部や湿地が開発によって消失しました。たとえば、現在の東京ディズニーランドおよびディズニーシーがある千葉県浦安市の舞浜地区は、元々東京湾に広がっていた干潟地帯でした。1970年代からの大規模埋め立てによって自然環境は一変し、多様な水生生物や渡り鳥の生息地は失われました。また、かつて日本最大級の干潟だった諫早湾では、1997年に国営干拓事業の一環として堤防が閉め切られ、生態系に深刻な影響が出ています。この事業に対しては国内外から環境への影響を懸念する声があがり、現在も訴訟や議論が続いています。


こうした過去の例が示すように、世界では国益や経済発展といった名目のもとに自然環境が後回しにされてきた歴史があります。環境アセスメントの制度があっても実効性を持たず、保全よりも開発を優先する判断が繰り返されてきました。


そうした流れの中、順天湾は国際的な自然保全の先進事例として際立っています。全羅南道では大規模な都市開発が比較的限定的だったこともあり、順天市は早くから湿地の価値に注目し、保全と再生に取り組んできました。2000年代以前より、商業漁業の制限、農地の買収、湿地の自然回復、電柱の地中化、コンクリート護岸の撤去などが段階的に実施されました。2003年には条例が制定され、法的な保護体制も整えられました。


このような取り組みにより、順天湾は渡り鳥にとって極めて重要な中継地・越冬地となっています。東アジア・オーストラリア地域渡り鳥飛来地ネットワーク(EAAFP)にも登録され、特に日本でも絶滅危惧種であるナベヅル(Grus vipio)の世界個体数の約60%が順天湾で越冬することが確認されています。2024年2月には国際ツル財団(ICF)からも、その生態系保全の成果が高く評価されました。


順天の事例は、人間と自然が共存するあり方を提起しています。経済的な指標では測れない、より貴重な価値を地域が共有し、保全と発展の両立を模索したこの取り組みは、国際的にも貴重な成功例といえるでしょう。自然を取り戻し、人間と共存させる意志と行動があれば、失われたはずの生態系も再生しうることを順天湾は証明しています。


KTX Sancheon(山川)でソウルから3時間


ファーストクラスもエコノミークラスもあまり変わらない


ソウル駅で買った弁当 ご飯は温かい


典型的な地方の駅 でも利用者はそここそいた


国鉄がストライキしてた


環境負荷に配慮した次世代の乗り物、スカイキューブ 結構速度が出て怖いね


見渡す限りの湿地 すごい

謎のキャラクター


オオヨシキリ
カササギ
アマサギ

2025年6月9日月曜日

5月・韓国旅行

スンチョンに行った次の日、ソウルで友人に会いました。合井(ハプチョン)駅で待ち合わせをしてカンジャンケジャンの店に行きました。

ケジャンはワタリガニの醤油漬けですが、以前食べた時は生臭さが気になりました。普段カニを食べる習慣がないので、そういうものだと思っていましたが、ここの店のカニは生臭さは一切なく、おいしかったです。

確か3万ウォンほど。トッポギや即席ラーメンも食べることができます。食べ放題を選ばなかったですが、十分満足できる量でした。

カンジャンケジャン
弘大の様子

その後は弘大(ホンデ)の方に歩いて行きました。私は明洞よりも弘大の方が好きです。

大統領選まであと数日でしたが、普段と大きく変わっていることはなくてよかったです。ただ朝に麻浦駅であった放火が政治的でないにしろ怖くてソウル中心部へ行くモチベーションはなくなりました。

ソウル街中の様子

弘大からバスで数駅の所にある仙遊島公園に行きました。

仙遊島公園
都会のオアシスみたいな所です

仙遊島公園は都会の喧騒から離れた美しい場所でした。漢江(ハンガン)の中洲でかつては浄水場だったそうです。

浄水場跡
コンクリートの施設跡
ハト
フレンドリーなハト
夕食には3合(サムハップ)を食べました。
牛肉とホタテは珍しい組み合わせだと思いました。

飲み足りなかったのでハシゴしました。「日食」と書かれていた居酒屋?へ
テラやカスの生がありました
日食?って思ったけどおいしかったです。
会社での付き合いと違い、気楽に飲むのは楽しいですね。





2025年5月25日日曜日

韓国でクロハゲワシを守る人々 越冬地・パジュを訪ねて


2月にパジュを訪れました。

韓国でクロハゲワシの保護活動が行われています。その始まりは、韓国の高校教師キム・ドクソンさんが、私費で餌やりを始めたことにあるそうです。山間部で衰弱している個体を目にし、手を差し伸べたのがきっかけでした。

クロハゲワシ(영양머리독수리/검독수리、英名:Cinereous Vulture)は、ユーラシア大陸の広範囲に分布する大型の猛禽類です。繁殖地はモンゴル周辺の乾燥地帯で、冬になると約3,000km離れた朝鮮半島に渡り、越冬します。

かつてはオオカミの狩りの残りや、農家が廃棄した肉などを食べて生きていましたが、近年は都市開発や環境の変化によりそうした自然な餌が得られなくなってきました。その影響で、韓国国内では餓死する個体が確認されるようになったといいます。

https://note.com/kankoku_kusanone/n/n6f4a6c494f11

韓国国内ではこうした状況に対応する形で、民間レベルでの保護活動がいくつかの地域で行われています。キム・ドクソンさんは江原道・固城(コソン)で活動していますが、私が調べたところ、ソウルの北にある鉄原(チョルウォン)や坡州(パジュ)周辺でも同様の活動が行われているとの情報がありました。

https://www.newspenguin.com/news/articleView.html?idxno=18281

越冬地・パジュについて
パジュは、ソウルから車でおよそ2時間。北朝鮮と接する非武装地帯(DMZ)に隣接する地域で、過去には一般の立ち入りが大きく制限されていました。現在では一部エリアが開放され、自然観察や環境保護活動の場として利用されています。

この地域には、戦争の記憶と自然の再生が同居しており、河川や湿地を中心に野鳥や希少種のモニタリングも行われています。クロハゲワシもその一部で、冬の間、この地に滞在し、餌場に現れます。

私が訪れたのは、坡州市文山邑長山里(パジュ市ムンサンウプ・チャンサンリ)にある保護拠点で、ここでは「임진강생태보존회(臨津江生態保存会)」という団体が活動しています。

ここでは毎週火曜・木曜・土曜の午前9時30分ごろからクロハゲワシへの給餌を行っており、1人10,000ウォンで参加・見学が可能です。

現地情報と連絡先
以下が公式案内です。なお、案内は韓国語となるため、訪問前に必要な情報を翻訳しておくと安心です。
私は知り合いに車で連れて行ってもらいました。ほとんどの人は自家用車でしたが、Kakao Tできている人もいました。KakaoTのチャーターでソウル駅から150,000ウォンほどだそうです。
📍 경기 파주시 문산읍 장산리 36(Naver Map
💰 体験参加費: 1人 10,000ウォン
📅 活動日: 火・木・土曜日、午前9:30から
(2025年は3月までです 来シーズンは12月ごろだと思われます)

こうした取り組みは、大規模な組織ではなく、地域の人々や個人の努力によって支えられています。韓国旅行で最先端の街だけでなくこのような自然との共存を体験できる機会です。 生きものと人間の接点を知るという意味でも、現地を訪れる価値はあると感じました。